おすすめのバスケ本10選 ~指導者編~

バスケ本

高校バスケットボール界には、毎年チームを全国大会に導く有名な指導者がいます。
その中でも、超有名な方はその指導方法や指導哲学を紹介する本を出版しており、それらの本を紹介させていただきます。

具体的な練習方法の紹介あり、指導の考え方の紹介あり。
バスケの指導者の方や、指導者を目指している方は一読してみてはいかがでしょうか。

この本はこんな方におすすめ!
  • 中学高校のバスケ指導者
  • バスケ指導者を目指している人
  • バスケと読書が好きな人

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今回紹介する本でも対象があります。

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『スーパーチームをつくる』トム・ホーバス

トム・ホーバスHCの3冊目の著者。
男子代表HCとなってからは初めての著書となりますね。

2023年ワールドカップでの男子日本代表の活躍はもはや説明の必要はないと思いまが…
ヨーロッパから初の勝利を挙げて、アジアNo.1を獲得してパリ五輪の切符を獲得しました。

女子日本代表を率いていたころからトム・ホーバスHCのスタイルは変わらず、

スーパースターはいなくても、スーパーチームを作る
というコンセプトのもと、男子代表もチーム作りをしていたことがわかります。

また、「ビリーブ」という言葉もトム・ホーバスHCのキーワードとなっています。
自分自身を信じること、チームメイトを信じること、チームを信じること。
これを徹底していたことがわかります。

この本は、バスケチームの作り方だけではなく、ビジネスでの組織作りにも通用するように作成されたそうです。
バスケのことをよく知っている人も、最近の活躍で知った人も、仕事で使えるリーダシップ論として活用できます。

パリ五輪の結果は残念でした…
でも、世界とやりあえることを証明しました。
日本の未来は明るい!

『バスケットボール 恩塚メソッドー知性にもとづいて勝つための「原則」』恩塚亨

バスケットボール女子日本代表ヘッドコーチの恩塚亨さんのコーチング哲学。
東京オリンピックで銀メダルを獲得したトム・ホーバスHCの後を継いで、女子日本代表を率いています。

パリオリンピックでは思うような結果を残せませんでしたが、そのバスケットボールフィソロフィは目を見張るものであることが本書でわかります。

本書はバスケットボールのコーチのための本です。
コーチのなかにはどうやって教えたらよいかわからない、という人や
教えているのに選手が思い通りに動いてくれない、と悩んでいる人が多くいるのではないでしょうか。

そんなコーチで教わっている選手は、もっと悩みます
その、わかりやすい例としては、
「ゆう通りにやれ」と「自分で考えろ」を両方選手に行ってしまうことです。

ダブルバインドと言うようですが、バスケの部活経験者であれば記憶にあるのではないでしょうか?
どうしてこのようなことが起こるかというと、プレーの判断基準である「ものさし」を持っていないことが原因だそうです。

コーチが「ものさし」を持っていない、もしくは正しく伝えられていないので、選手も「ものさし」が持てず、正しい判断ができないのです。
この「ものさし」を「原則」として定めることを、恩塚メソッドでは提唱しています。

「原則」を判断基準として使うわけです。
ただし、「原則」は従わなければならないルールではない、ということが重要です。

このように、緻密なコーチングメソッドであったり、試合中のシチュエーションごとの「原則」が紹介されています。
紹介されている技術は、かなり専門的であるためハイレベルなコーチ向きであるかと思います。

もちろん、プレーヤーにも役立ちますし、観戦するにもこのような知識があるともっと楽しめるでしょう。

『まとめ上げる力』安齋竜三

現越谷アルファーズHC、前宇都宮ブレックスHCの安齋竜三氏によるチームマネジメントの本。

選手、AC(アシスタントコーチ)、HC(ヘッドコーチ)でそれぞれ日本一を達成した経験からまとめ上げる力を語ります。

安齋HCといえば、Bリーグ2021‐22シーズンを宇都宮ブレックスで日本一に導いた手腕が記憶に新しい。
HCのイメージが強く、選手時代のことを私は知りませんでした。
あのレジェンド田臥勇太と同じ世代で、同じチーム所属だったんですね。
今現在は越谷アルファーズのHCですが、選手時代にその前身の大塚商会アルファーズに所属していたことがあったそうです。
その縁があっての今があるんですね。

直近の実績を見ていると、順風満帆なコーチキャリアですが、選手時代には苦労していたことが分かります。
しかし、だからこその今があると語っています。

宇都宮ブレックスと言えば、ディフェンスのチームであるとバスケファンであれば認識しているでしょう。
ここまで築き上げるには一朝一夕ではいかず、様々な試行錯誤を行っていたことが分かります。
長い年月をかけてチームのカルチャーを築くことが大事だと語っています。
チームスタッフ、選手、ファン、全てが一体となってカルチャーが出来上がり、今の強い宇都宮があるんですね。
そして、今越谷にもカルチャーを築いている途中だそうです。

バスケファンならずとも、ビジネスマンとして組織をまとめ上げるにも役立ちそうです。

著:安齋 竜三, その他:藤井 洋子

『日本バスケの革命と言われた男』安里幸男

2023年、W杯沖縄開催で盛り上がったバスケ界。
2022年から公開された『THE FIRST SLAM DUNK』の主人公・宮城リョータの故郷も沖縄
Bリーグ2022-23シーズンのチャンピオンに輝いたのも、沖縄県が本拠地の琉球ゴールデンキングスでした。

その沖縄で伝説の指導者として知られる、安里幸男氏の生き様を語る本。

辺士名高校、豊見城南高校、北谷高校、中部工業高校、前原高校、コザ高校
と沖縄県の高校のコーチとして数々の実績を残し、ジュニアの日本代表コーチも経験。

沖縄県とバスケを愛し、バスケにこだわった人生が感じ取れます。

沖縄県民は身長が高い子があまりいないらしく、バスケでは不利ではあるものの、小さくても勝てるバスケを目指していました。
辺士名高校時代の1978年、平均身長160cm台ながらオールコートプレスと速いトランジションバスケでインターハイ3位の実績を残し、
日本バスケの革命」と言われました。

このバスケのスタイルが、2023年W杯の日本代表のスタイルとよく似ています。
富樫勇樹や河村勇輝の小柄な選手が、スピードを武器に速いトランジションを展開するバスケです。
このスタイルが日本人に適しているということでしょうね。

40年以上前から答えは出ていたのかもしれません。

安里氏のコーチ哲学も語られており、それも時代と共に変化していることが分かります。
本書のコラムで教え子のコメントがあり、安里氏の練習は相当キツかったことが伺えます。

選手に手を上げることも少なくなかったようです。古き良き時代ですね。
時代背景もありますが、情報も多く得られるようになってからは、毎日練習で追い込むことをやめたり、選手自らに考えさせることを重要視しているようでした。

バスケコーチとしての考え方が学べますし、バスケが好きな人には一読してほしい一冊ですね。

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『小さい選手が大きい選手に勝つためのバスケットボール・スキル』富樫英樹監修

Bリーグ・千葉ジェッツ、日本代表としても活躍する富樫勇樹の父であり、2022年ウィンターカップ優勝校の開志国際高校バスケ部の監督である富樫英樹氏によるバスケスキル本。

「小さい選手が大きい選手に勝つための」
というところにフォーカスを当てたところがニクい。

167cmである富樫勇樹を育てた父であり、指導者である実績が物語っていますね。
個人スキルは基礎的はもちろん、応用技術も写真を中心に紹介されています。

特に1対1で勝負するためのドリブルスキルや、大きい選手にブロックされないためのシュートスキルなどは詳しく紹介されています。

また、小さい選手はリバウンドのスキルは不要と思いきや、小さい選手ならではのリバウンドスキルも紹介されているところが特徴的です。

戦術面では、どうやてフリーの形を作っていくか、という点が中心に紹介されています。
小さい選手はフリーのアウトサイドシュートは決めて当たり前、という感覚ですね。

体格に恵まれない日本人には打ってつけの本。
身長に恵まれない選手も、富樫勇樹選手や河村勇輝選手の活躍により勇気をもらっているのではないでしょうか?そんな選手におすすめします。

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『走らんか! 福岡第一高校・男子バスケットボール部の流儀』井手口孝

近年の男子バスケ界で素晴らしい成績を残している福岡第一高校・男子バスケットボール部。
2023年のウィンターカップでも、見事優勝の結果を残しました!
その福岡第一高校バスケ部監督の井手口孝氏のバスケ指導についての考え方が語られた本。

全国大会常連で、インターハイ4回、ウィンターカップ5回の全国制覇を成し遂げた指導・教育哲学が詰め込まれています。

もともとバスケットボール経験者で指導者を目指していたようですが、福岡第一で男子バスケットボール部の監督にたどり着くにはいろいろな紆余曲折があったようです。

そもそも井手口氏が福岡第一に赴任した時には男子バスケ部がなかったというから驚きです。
今となっては強豪校ですが、1994年に井手口氏がゼロから築き上げたことがわかります。

少しずつ実績を上げていき、留学生を受け入れたり、福岡第一でプレーしたいという生徒も増えて今では全国大会上位が当たり前の高校となりました。

福岡県の男子バスケと言えば、福岡第一と福岡大付属大濠の2校がライバルとしてしのぎを削っています。
2019年のウィンターカップ決勝では史上初の福岡県対決が実現したほどです。
バスケの関係上でもライバルですが、どうも政治的な話でもライバルのようで……、そんな関係性も垣間見えます。

本書で井手口氏は、バスケ部の監督の前に一教育者としての考えが強く、生徒を一人の人間として育てるという考えが随所に感じ取れます。

もう少しで定年を迎える井手口氏ですが、後継者も考えているようで、今後の福岡第一にも注目です。

福岡第一高校出身のプロバスケ選手は、河村勇樹(横浜ビー・コルセアーズ)、並里成(群馬クラインサンダース)、鵤誠司(宇都宮ブレックス)など多数。
これからも福岡第一出身のBリーグで活躍する選手が出てくるのが楽しみですね。

『日本最高峰のバスケ学』井上眞一著 三上太編成

女子バスケの名門桜花学園のコーチである井上眞一氏の自伝本。
本書は2001年に出版した「勝利にひそむ運と必然」という作品を、再編集した改訂版といえる本です。

井上先生は、コーチとしての全国大会通算70回目の優勝(2022年7月時点)というとてつもない偉業を達成し続けているとても偉大な方です。

バスケとの出会いからコーチ就任までの道のりから始まり、コーチ学や教育論、今後のスポーツ界への期待と展望まで語られています。

スキル的なことについてはあまり触れられておらず、指導法、考え方について強く語られています。
その中でも勝ちにこだわる姿勢が垣間見えます。
コーチは勝つための仕事だと。

また、本書にもたびたび出てきますが、井上先生は
「バスケが好きで、バスケを教えるのが好きで、こどもたちが好き」
この条件がすべて当てはまるので、諦めずに粘り強く教えられるそうです。

これが、長期間強豪を保ち続けた秘訣なのではと思いました。

終盤には2020年東京五輪へ向けての思いも記載されています。
桜花学園の卒業生から5人くらいは出てもらいたいと語っています。

実際は高田真希、三好南穂、馬瓜エブリンの3名が出場を果たしました。
結果はご存じのとおり、銀メダル獲得です。素晴らしい。

女子バスケのリーグはあまり見ていませんが、この本を通じてWリーグにも興味を持ちました。
この選手は桜花学園出身なんだ!と思いながら試合を追っかけるのも楽しそうですね。

『バスケットボール 試合で勝てるチームの作り方』田渡優監修

東洋大学京北高校バスケ部監督の田渡優氏による、高校バスケでのチームのつくり方論。

田渡監督は、Bリーグで活躍する田渡兄弟のお父さんでもあります。

チーム作りの考え方から、基本技術や具体的な練習方法が紹介されています。

チームの作り方という観点においては、3年生が引退し、2年生へとバトンタッチした後の1年間でチームを作り上げていく必要があります。

毎年のチームの特徴をとらえた上で、チーム作りの目標を長期・中期・短期と分けて設定するそうです。
長期は1年間での目標、中期は次の大会までの目標、短期は数日単位での目標。
このような形でチーム作りすることによって着実にステップアップさせていくようです。

その他、チーム連携を高める練習方法や、フィジカルを鍛える練習メニューが具体的に紹介されています。

さらに、1年間の練習スケジュール、日々の練習メニュー、合宿プログラムの例なども紹介されており、指導者が参考になる情報が盛りだくさん紹介されています。

バスケ指導者にはためになる一冊です。
指導者ではなくても、高校バスケファンは楽しめると思います。

『WINNING MENTALITY ウイニングメンタリティー』トム・ホーバス著

バスケットボール男子日本代表ヘッドコーチのトム・ホーバスの本を紹介します。
本書は、トム・ホーバスHCのコーチング哲学が書かれています。

トム・ホーバスHCといえば、バスケットボール女子日本代表を率いて東京オリンピックで銀メダルに導いたことが記憶に新しいでしょう。
この結果を達成した要因がどこにあったのかを自ら語っています。

やはり大事なのは、チーム内での信頼関係が大きかったのだと思います。
トム・ホーバスHCは日本語が堪能で有名ですが、試合中に強い口調で指摘する姿がテレビなどで取り上げられていました。

練習中も同様のことがあるようですが、きちんとその後一人ひとり個別にフォローしていたようです。
さっき言ったことが本当に伝わっていたのかを確認し、しっかりと内容を落とし込んでいたのです。

このほかにも、コーチとしての様々な考え方が記載されており、この考え方があったから東京オリンピックでの銀メダルに繋がったのだと納得させられます。

次は、男子日本代表としてパリオリンピックを目指すわけですが、このコーチング哲学が通用するのか、再現性があるのかが試されることになりますね。
もちろん、良い結果を残すことを期待しています。

『高校バスケは頭脳が9割』三上太著

高校運動部の「頭脳が9割」シリーズのバスケ版。
バスケの他に、野球・サッカー・バレー・ラグビーなどがあります。

高校バスケの指導者数名に、指導哲学を取材し紹介する一冊です。
本書では以下の指導者が紹介されています。

  • 高橋仁 監督 山形市立商業高校ほか
  • 佐藤久夫監督 明成高校(現:仙台大学付属明成高校)ほか
  • 色摩拓也監督 尽誠学園高校
  • 安江満夫監督 岐阜女子高校
  • 近藤義行監督 船橋市立船橋高校ほか

佐藤久夫監督率いる明成高校(現:仙台大学付属明成高校)といえば、日本人初のNBAドラフト指名となった八村塁を輩出した学校です。
色摩拓也監督率いる尽誠学園高校といえば、日本人2人目のNBAプレーヤーとなった渡邊雄太を輩出した学校です。

本書出版時点では、八村選手も渡邊選手もまだNBAプレーヤーではありませんが、後のNBAプレーヤーを育てた指導者を取り上げているというとこは先見があったのでしょうね。

その他、全国でも有名な高校の男子・女子の高校監督の話が紹介されています。

高校バスケの指導者は教師が多く、今回紹介されている監督も教師と兼務している方か、元々教師をされていた方です。

こうした傾向からか、どの指導者の方もバスケのスキルや戦術のみを教えているのではなく、高校生を一人の人間として成長させようという考えが伺える。

本書を読むと、高校バスケの全国大会がより面白く観戦できます。

まとめ

今回は、おすすめのバスケ本の中で、高校バスケの有名指導者に関する本を紹介させていただきました。

高校バスケ指導者は教師兼務が多く、どの指導者もバスケのスキル・戦術のみではなく、人間性の教育も重視しているように思いました。
皆さん試行錯誤し、この位置までたどり着いていることが分かります。
この過程の中で、スキルや戦術だけ教えていてもチームは強くならないということがわかってくるんですね。

他にもバスケに関する書籍を紹介しています。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。

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